今思えば、彼との出会いは最悪だったのかもしれない。



~*


はぁっ…


冬の冷たい空気に、吐き出した息は白く曇って

体も冷え切っているのに、流した雫だけがやけに温かくて、

眼下に広がるネオンの街を、手すりに座って眺める。

あぁ、そういえば今日はクリスマスだったっけ…?

そんなもの、とっくの昔に祝わなくもなったな。


…、昔は、しあわせだったなぁ


私が一番幸せ者だって、信じて疑わなかったあのころ。


っ…あの頃に…戻りたい。


私が愛してやまなかった背中は、もうここにはない。

私が欲しくてたまらなかった"アイジョウ"とやらも、私には手に入りっこないって、

そんなのとっくにわかってた。

友達が作れないのも。恋ができないのも。

みんなが好きだというものに、共感ができなかったのも。


ぜんぶ、ぜんぶ。

しょうがないという言葉で。

そういうときもあるって、あなただけじゃないって、私が我慢すればいいんだって。

そんなことでって。

簡単に流されてしまうこの世の中が、
きらいだ。