わたしを「殺した」のは、鬼でした

「千早様……」

 まだ死にたくない。
 まだ千早様の側にいたい。
 千早様の気まぐれが終わるその時まで、彼の側で、彼にお仕えしたかった。

 彼の側は、暖かいのだ。
 決して口数の多い方ではない。
 時にぶっきらぼうであったり、淡々していたり……。
 でも、わたしをわたしとして「見て」くれる方。
 わたしに、手を差し伸べてくれる方。

 千早様を想うと胸が温かくなるこの感情を何と呼ぶのか、わたしにはわからない。
 だけど、わたしを生かすのも殺すのも、千早様でないと嫌だと思った。
 彼の知らないところで、彼以外のものの手によって死ぬのは嫌なのだ。
 死の間際まで千早様の側にいたい。
 こんな風に考えるわたしは、どこかおかしいのだろうか。