わたしを「殺した」のは、鬼でした

 長い付き合いだが、千早がそれほど感情的に行動するのを青葉ははじめて見た。
 いくら道間を相手にしたからと言って、青葉の知る千早であれば、その場で縊り殺して終わるだろう。鬼に変えるなんて、しかも連れ帰るなんてあり得ない。

 だからこそ、青葉は千早にユキをどうするつもりかと問うた。
 千早は明確な答えを返さなかった。
 返せなかったのだろう。
 千早自身が、自分の行動を、感情を、持て余していたのだ。

 ゆえに、予感がした。
 ああ、千早はあの娘を「選んだ」のだと。

 ユキの何が千早の琴線に触れたのかはわからない。
 だが確実に千早はユキに心動かされたのだ。
 そして、持て余していた感情にようやく答えが出たのだろう。