わたしを「殺した」のは、鬼でした

 膝を抱えてうずくまり、そっと息を吐く。
 どうせ死ぬのなら早めに死んだ方が苦しまないだろう。
 わかってはいるのだが、人間というものは、死が目前に迫っているとわかっていても、生にしがみつきたくなるものなのかもしれない。

 あと少し、少しだけ、生きていたかった――

 わたしにこの名をつけてくれた乳母が願ったように、死ぬ前に「幸せ」というものを知りたかった。
 乳母が去り、ひとりぼっちになった離れの中で、ずっと願った、わたしの「幸せ」。
 誰でもいい。

 わたしを必要としてくれる人に、出会って見たかった……。