わたしを「殺した」のは、鬼でした

 ぽつりと言われて、わたしはゆっくりと瞼を上げる。
 わたしを見下ろす千早様は、ちょっと不機嫌そうだった。

「お前は俺が拾った。……お前の役目は、俺の役に立つことだ」

 言われてみれば、そうかもしれない。
 ここで楽になることを選ぼうとしたわたしはなんて浅はかだったのだろう。
 千早様は、わたしを拾った。
 だから彼が望むまで、彼に仕えるのがわたしの仕事だ。

「帰るぞ」

 千早様が片手をわたしとつないで、もう片手で傘を持つ。
 何故かその傘はわたしに大きく傾けられていて、千早様の左肩が冷たそうだった。