わたしを「殺した」のは、鬼でした

 疲れ果てて、自分の望みすらわからなくなっていたわたしは、千早様の言葉を聞いて、ようやく自分のことが少しだけわかった気がした。

 ……わたしは、死にたいのね。そして、できることなら……。

 この、綺麗な人の役に立って死にたい。
 忌子だと言われ、不要なものとして扱われていたわたしの存在を見て、拾い上げてくれたのは、千早様がはじめてだった。
 もし、わたしが死に場所を選ぶなら、今ここで死ぬのが一番だと思った。
 千早様のお心を鎮めて、彼の胸に巣食い続けていた道間への復讐心を、少しでも軽くできるかもしれないから。

 千早様の手を首に当てたまま、ゆっくりと目を閉じる。
 千早様が躊躇いがちにわたしの首に指をからませ――けれども、力を籠めることなく下におろした。

「……お前は殺さない」