わたしを「殺した」のは、鬼でした

 自然とそんなことが口を突いて出てきたけれど、この時わたしは、この場で千早様に殺されてもいいと本気で思っていた。

 道間家の不要物として生まれ、いつ散らされてもおかしくなかったわたしの命。
 千早様に拾い上げていただかなかったら、わたしは今、この場に存在しなかっただろう。
 常に死と隣り合わせで生きてきたわたしにとって、己の死はとても身近なもので、きっと、他の人と比べて、死への恐怖が少ないのかもしれない。
 進んで死にたいとまでは思わないけれど、千早様に拾い上げてもらって、気まぐれで生かされているわたしだ。

 だから千早様になら、殺されても後悔はしない。
 千早様は墓石からわたしに視線を映し、平坦な声で訊ねてきた。

「お前は、もしかしなくても死にたいのか」

 そんなこと、はじめて問われた。
 驚くと同時に、そうかもしれないと思う。
 おそらくわたしは、ずっと前から、生きるのに疲れていたのだ。
 いつ殺されるかと考え続けるくらいなら、いっそのこと早く息の根を止めてほしいと、願っていたのだろう。