わたしを「殺した」のは、鬼でした

「はい」

 すぐに返事をすると、千早様は箸をおいた。

「昼から出かける。ついて来い」

 わたしが鬼の隠れ里に来てからこのお邸の外に出るのははじめてのことで、だから「出かける」と言う言葉がすぐに理解できなかった。
 ぱちりぱちりと瞬いて、それから「はい」と返事をすると、千早様が少しだけ表情を緩める。

「昼から雪が降りそうだ。傘を準備しておけ」
「かしこまりました」

 わたしが頷くと、千早様が再び箸を手に持った。
 青葉様がもの言いたげな顔で千早様を見ていたことに、遅まきながら気づいて首をかしげると、青葉様がゆっくりと首を横に振る。

「ユキ、今日は冷える。温石を用意し、暖かくしていきなさい」

 青葉様はそう言って、目を伏せた。