わたしを「殺した」のは、鬼でした

「戻りました、千早様」
「……ああ、本当に戻って来たのか」

 千早様は軽く目を見張り、それから細く息を吐き出す。

「先に寝ていろ」

 わたしの体が冷えたら懐炉として役に立たないからだろう。
 千早様はそう言いおいて、寝支度をするのか、部屋の外へ出て行った。

 もともと油が少なくなっていたのか、お布団の中に入って千早様を待っている間に、灯台の灯りがふっと掻き消える。
 薄暗くなった室内に、月明かりを映した障子だけがぽっかりと浮かび上がっていた。

 お布団が温かくて、待っている間に眠くなってくる。
 だけど、千早様をお待ちしている間に眠りにつくのは大変失礼なことだ。
 目をこすりながら意識を繋いでいると、お風呂を使って来たのか、髪の毛の先を湿らせた千早様が戻って来た。