わたしを「殺した」のは、鬼でした

 父に斬られると思っていたわたしだったけれど、父はわたしを捨てることにしたようだ。
 ただ、結果としては、斬られても捨てられても、待ち受ける運命は同じであろう。

「……こんな時でも、おつきさまは綺麗ね」

 闇色に染まった木の葉の間から、金色の満月がわたしを見下ろしていた。
 なぜわたしは、こんな赤茶色の髪で生まれてきてしまったのだろうか。
 物心ついたときから幾度と自問し、答えがないことも理解しているのに、わたしはまたそんなことを考えていた。