わたしを「殺した」のは、鬼でした

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 千早様は、気まぐれである。

 畳の上にお布団の準備をしていると、千早様はもの言いたげな目で、じーっとわたしを見ていた。
 何か不手際があっただろうか。

 今日はお天気がよかったから、お布団も干しておいた。
 敷布もお洗濯したし、何もおかしなところはないと思う。
 懐炉代わりになれと言われた時は少し驚いたけれど、今日はいつもより冷える。
 温石だと寝ている間に冷めてしまうが、人肌なら冷めることはないだろうから、なるほど、と納得したのだけれど、今になってちょっとだけドキドキしてきた。

 千早様にとってわたしなど路傍の石のようなものだろうけど、わたしにとっては違う。
 懐炉代わりとは言え、精悍な殿方の隣で眠るのは、わたしの心臓にはあまり優しくないことだった。