わたしを「殺した」のは、鬼でした

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 夜――

 ふと、灯台の炎が弱くなってきたのを感じて、千早は書き物をする手を止めて顔を上げた。
 すると、視界の端に、静かに控えているユキの姿が映る。
 部屋の隅に、息を殺すようにして座っているユキを見て、千早はまだ起きていたのかと目を見張った。

 そして、そう言えば下がれと言っていなかったことを思い出す。
 筆をおいた千早は、ユキに油を持って来させようかと考えてやめた。
 障子越しに見る外はかなり暗い。部屋の中もぐっと冷えていた。あのように部屋の隅にいたら寒かろう。

「ユキ」

 呼べば顔を上げた彼女が、しずしずと近づいてくる。
 手を伸ばして彼女の指先に触れれば、やはり冷たくなっていた。
 千早はひとつ息を吐いて、火桶の側に寄るように彼女に命じる。
 ユキは戸惑いを浮かべながらも、素直に火桶のそばまで寄った。