わたしを「殺した」のは、鬼でした

「あの娘が気に入りましたか?」
「そういうわけではない」
「では、どういうわけでしょうか」

 珍しく、青葉が食い下がって来る。
 箒で切り落としたユキの髪が集められ、一か所にまとめられていくのを眺めながら、千早は青葉の問いを胸の内で反芻した。

(どういうわけ、か)

 そんなもの、むしろ自分が知りたいくらいだ。
 最初はただの気まぐれだった。
 いや、今も気まぐれに他ならないだろう。
 ただその気まぐれが、少し方向性を変えたのかもしれない。

 はじめは、道間の娘を弄べば面白いかもしれないと思った。
 次に、予測と違う反応を締めるユキが興味深くて、手元に置いて観察して見たくなった。

 そして今は――わからない。
 文句ひとつ言わず、黙々と千早の下女であろうとするユキのことが、正直なところよくわからなかった。
 あの娘は道間で、千早はあの娘を殺した鬼で――、現在進行形で、あの娘をこき使っていると言うのに、なぜそれを平然と受け入れるのか。