わたしを「殺した」のは、鬼でした

「黒」を持って生まれた妹に、父は狂喜乱舞した。
 その瞬間、わたしは、子を産む道具としても父から不要とみなされたことを理解した。

 赤頃の頃に死を免れたけれど、わたしは近いうちに「処分」されるだろう。
 それでも十五まで生かされたのは、妹がある程度大きくなるまで様子を見るつもりだったのかもしれない。
 幼子が死ぬことはよくあるから、保険のつもりでわたしを残したのだろう。

 そして妹が五歳になり、強い破魔の力を宿していると知った父は、ついにわたしを「処分」することに決めたのだ。