わたしを「殺した」のは、鬼でした

 ……だって、なんでこの人は、わたしを鬼にしたの?

 そんな疑問が、顔に出ていたのだろうか。
 彼はふんと嗤い、ちょっとだけ機嫌がよさそうに口端を持ち上げた。

「お前をここに連れてきたのはただの気まぐれだ。気まぐれゆえ、お前の命を刈るかどうかも俺の気分次第。せいぜい俺の機嫌を取ることだな」

 わたしはわかったようなわからないような気持で、上体を起こして頷いた。

「つまり、わたしはあなた様にお仕えすればよいのですね。どうぞ、よろしくお願いいたします」

 鬼は、虚を突かれたような顔をして、しばらく目を見張ったまま動かなくなった。