わたしを「殺した」のは、鬼でした

「先ほどの質問に答えよう。外見的な変化という意味であれば、お前に変化はない。だが、肉体的な変化という意味であれば大きく違う。……鬼は、千年生きるからな」
「え……?」
「そもそも、鬼という種族は、神の亜種だ。人の理でも、神の理でも生きられない存在、それが鬼である。お前たち道間は俺たちと魑魅魍魎を同列に考えるが、そもそもそこも間違いだ。魑魅魍魎は幽鬼の類であり、あれらには寿命と言うものがない。まったくの別物なのだ」
「ええっと、つまり……」
「本来であれば、人であるお前は、死ぬと同時に黄泉へ下るか、幽鬼となるかのどちらかだった。俺がそれを無理やり鬼に変質させたのだ。ゆえにお前は人の生を終え、鬼となった。理解できたか?」

 わたしを見る視線は相変わらず冷ややかなのに、彼はとても丁寧に状況を教えてくれた。
 教えてくれたが――やっぱり、すぐに理解できるものではなかった。