わたしを「殺した」のは、鬼でした

 彼によると、わたしは鬼になったらしい。
 鬼になったと言われても、何か違いがあるのかと問われればよくわからない。
 わたしの気分を答えるには、まず、わたしが何に変質したのかを知るべきだろう。

「鬼になったそうですが、わたしは、何が変わりましたか?」

 それは、久しぶりに口に載せた疑問だった。
 そのあとで、問うてよかっただろうかと不安になる。
 だけど鬼はわたしの問いに気分を害した様子もなく、ただ意外そうに眉を上げた。

「その問いが、姿かたちを問うているのなら、変化はない」
「そうでございますか」
「ただ、先ほども言ったが、お前は死んだ。もはや人ではない」
「はあ……」