わたしを「殺した」のは、鬼でした

「お前は死んだ」

 普通の人間なら狼狽え取り乱すだろうことを言っても、女は戸惑いを見せるだけだった。
 不思議な反応だなと思いつつ、布団の側に胡坐をかいて座る。
 名を訊ねれば「ユキ」と帰って来た。
 名を呼び、千早が「お前は死んだ」と繰り返しても、ユキはやはり戸惑いを見せるだけだった。
 そして、「さようで、ございますか」とわかっているのかいないのか、そのような返事を返してくる。

「変な女だ」

 思わず感想が口を突いて出たが、ユキは怒りはしなかった。それどころか、どこか喜ぶような顔をしたので、また「変な女だ」という感想を抱いてしまう。