わたしを「殺した」のは、鬼でした

 決して誉められていないのはわかっているけれど、その言葉はわたしを傷つけることはなかった。
 無用なものとされ、存在ごと打ち捨てられていたようなわたしにとって、変と表現されることは逆に小さな感慨すらもたらす。
 変、と言われると言うことは、すなわちわたし自身を「表現」してくれていると言うことだ。
 わたしを、見て、感じてくれていることなのだ。

 彼の綺麗な赤紫色の瞳に、わたしが映っている。
 感動せずには、いられない。

「お前は死んだ」

 彼は同じ言葉を繰り返す。

「俺が殺した。そしてお前は人の理から外れた」

 彼はわたしの首元に手を伸ばす。
 指先が触れ、何かを確かめるように滑った。
 ちょっとだけ、くすぐったい。

「お前は、もはや道間ではない。――お前は、鬼だ」

 わたしは、大きく目を見開いた。