わたしを「殺した」のは、鬼でした

 彼は形のいい眉を跳ね上げて、じろりとわたしを睨んだ。

「理解しているのか?」
「いいえ、理解しておりません……」

 けれど、それを訊ねていいものなのだろうか。
 道間家では、わたしは「問う」ことを許されなかった。
 疑問を抱くことも、それに否を唱えることも、何一つ許されてこなかったわたしにとって、何かを訊ねるという行為はひどくわたし自身に戸惑いをもたらす。
 悩み、惑って、わたしはおずおずと、問いではなく「確認」を入れることにした。

「わたしは、死んだのでございますね」

 彼は、そっと息を吐き出した。
 そして、吐き捨てる。

「変な女だ」