わたしを「殺した」のは、鬼でした

 戸惑うわたしに、彼は冷ややかな声で告げた。
 わたしがぱちりぱちりと瞬くと、彼はお布団の側に胡坐をかいて座る。
 何も理解できていないわたしは、一体何を訊ねていいのかもわからなかった。
 ただ呆けたように瞬きを繰り返すわたしに、彼はひとつ息を吐く。

「道間……いや、もう道間ではないな」

 道間で、ない?

 それはわたしが道間家から捨てられたからだろうか。
 それとも、ほかに意味があるのだろうか。
 やっぱり何も言えないでいるわたしに、彼は端的に訊ねた。

「名は?」
「……ユキ、と呼ばれておりました」
「そうか。では、ユキ。お前は、死んだ」
「…………さようで、ございますか」

 たっぷり沈黙して、理解できないまま頷く。