わたしを「殺した」のは、鬼でした

 横になったまま、考えていると、すっと襖の開く音がした。
 首を巡らせれば、ボタンの絵柄の描かれた襖の奥に、「鬼」が立っている。

 わたしを殺した――いや、殺そうとした? 鬼だ。
 死んだのか死んでいないのか、自分のことなのによくわからなくて、わたしはただただじっと彼を見つめた。明るいところで見ても、彼はやっぱり綺麗だ。
 ぐっと眉を寄せた不機嫌な顔で、鬼は畳の上を歩いてくる。

 そしてわたしの枕もとで、腕を組んで仁王立ちになった。
 このまま寝ているのも失礼な気がしたので上体を起こし、お布団の上に正座をして彼に向き直る。

「あの……」
「お前は死んだ」