わたしを「殺した」のは、鬼でした

 ――子宝の湯って言われているから、新婚にはもってこいでしょう?

 ぼんやりしていたからだろうか、ふと、牡丹様に言われたことを思い出した。

 ……子宝の湯、かぁ。

 千早様と祝言を上げたのだから、いつかは……とは思う。
 千早様は、わたしの父のように、生まれた子がどんな色を持っていたとしても、落胆し処分しようなどとはしないはずだ。

 だけど……、親の愛情を知らずに育ったわたしが、子供を立派に育てることができるだろうか。

 子供ができてもいない今からそんなことを考えても仕方がないとはわかっているけれど、自分がちゃんとした母親になれるかどうかが心配で仕方がない。
 わたしはどうも、物事を後ろ向きに考えてしまう。
 わたしはもう道間ではなく、千早様の妻になったのだから、もっとしっかりしなくてはと思うのだけれど、こればっかりは油断しているとすぐに表れてしまう悪い癖だった。

 いつかわたしも、牡丹様のように自信にあふれた素敵な女性になれるだろうか。
 わたしは、母を知らない。
 乳母も、わたしが五つか六つくらいのときにいなくなったので、ぼんやりとした記憶しか残っていなかった。
 だから、わたしの身近な大人の女性は、牡丹様だ。
 牡丹様のように、優しくて温かくて、自信にあふれている、素敵な女性になりたい。