――ぽかぽかと温かいのが不思議だった。

 ぼんやりと瞼を持ち上げたわたしは、そのまま、何度か目をしばたたく。

 ……ここ、は?

 ふわりと肌に触れるのは、柔らかくて温かいお布団の感触だった。
 パチパチと火が爆ぜるような音がして、首を巡らせれば、両手で抱えられないほど大きな火桶が置いてある。
 火の爆ぜる音は、そこからしているようだ。
 火桶のおかげか、お布団か。それともその両方か。
 先ほどまで凍えていたはずのわたしは、まるで春の暖かな日差しに包まれているかのように暖かかった。