わたしを「殺した」のは、鬼でした

「お食事の前にお茶をお持ちしますね」

 お茶を飲んでいる間に、朝餉の用意が整うだろう。
 わたしが部屋を出てお台所に向かうと、途中の廊下で青葉さんとすれ違った。

「お館様はもう起きたのか?」
「はい。今日はいつもよりお早いですよ」
「それはよかった。この調子で頼む」

 今日千早様が早く目覚めてくれたのは偶然だと思うけれど、青葉さんに期待を込めた目で見つめられると、無理ですとは言えない。
 頑張ります、と答えて、わたしはお台所でお茶を用意すると、千早様の待つお部屋に向かい――

「千早様、ダメですよ! 起きてくださいませ!」

 お布団がないにもかかわらず、畳の上で二度寝をしようとしていた千早様を、慌てて起こしにかかったのだった。