「千早様、青葉さんが困ってしまいます。起きて――んむぅ?」

 ゆさゆさと千早様を揺さぶれば、何かお気に召さないことでもあったのか、少しだけ乱暴にわたしの口が塞がれる。
 少し長い口づけに、わたしはうっとりと目を閉じかけてハッとした。

 ……このままだとこのまま寝ちゃう!

 千早様の策略にはまってなるものかと、わたしは彼の胸をぽんぽんと叩く。
 ようやく口が離れると、千早様がうっすらと目を開けていた。

「褥の中で他の男の名を呼ぶな」

 どうやら、青葉さんの名を呼んだのが気に入らなかったようだ。
 だけど、千早様がようやく目を開けてくれたので、ひとまずこれでよかったのかもしれないと思うことにした。

「おはようございます、千早様」
「……まだ早いじゃないか」

 髪をかき上げながら、千早様が仕方なさそうに上体を起こす。