青葉様は、わたしが千早様の妻になるからと、呼び方を「ユキ様」と改めようとしたのだけれど、わたしが今まで通りで呼んでいただくようにお願いした。
青葉様は最初、そういうわけにはいかないと了承してくれなかったのだが、わたしが胃のあたりが痛くなると言えば、千早様に確認を入れた後で渋々了承してくれたのだ。
その代わり、明日の祝言を終えたら、青葉様という呼び方を「青葉さん」もしくは「青葉」と改めるように言われている。正直、これも胃が痛くなりそうだったけれど、頑張るしかないだろう。ちなみに、呼び捨てなんてとんでもないので、「青葉さん」の一択だ。
青葉様に言われて牡丹様の元を訪れると、牡丹様の手元にはとても美しい洗朱色の簪があった。
「明日の髪はわたしにさせてちょうだいね。それでね、ユキ、明日の簪なんだけど、これを使ってほしいの」
わたしが牡丹様の前に座ると、牡丹様は背中で一つに束ねただけのわたしの髪に触れながら「艶が出てとても綺麗よ」と笑ってくれる。青葉様が椿油をくださって、祝言に向けてそれで髪を整えていたから、そのおかげだろう。
「その簪は、どなたかのものなのでしょうか?」
とても美しいのだが、年代物のように思えて訊ねると、牡丹様が笑った。
「ええ、そうよ。千早の両親が結婚したときのものだから、今から三百年ほど前のものかしら? 千早のお母様が祝言のときに身に着けていたものなの」
青葉様は最初、そういうわけにはいかないと了承してくれなかったのだが、わたしが胃のあたりが痛くなると言えば、千早様に確認を入れた後で渋々了承してくれたのだ。
その代わり、明日の祝言を終えたら、青葉様という呼び方を「青葉さん」もしくは「青葉」と改めるように言われている。正直、これも胃が痛くなりそうだったけれど、頑張るしかないだろう。ちなみに、呼び捨てなんてとんでもないので、「青葉さん」の一択だ。
青葉様に言われて牡丹様の元を訪れると、牡丹様の手元にはとても美しい洗朱色の簪があった。
「明日の髪はわたしにさせてちょうだいね。それでね、ユキ、明日の簪なんだけど、これを使ってほしいの」
わたしが牡丹様の前に座ると、牡丹様は背中で一つに束ねただけのわたしの髪に触れながら「艶が出てとても綺麗よ」と笑ってくれる。青葉様が椿油をくださって、祝言に向けてそれで髪を整えていたから、そのおかげだろう。
「その簪は、どなたかのものなのでしょうか?」
とても美しいのだが、年代物のように思えて訊ねると、牡丹様が笑った。
「ええ、そうよ。千早の両親が結婚したときのものだから、今から三百年ほど前のものかしら? 千早のお母様が祝言のときに身に着けていたものなの」


