わたしを「殺した」のは、鬼でした

***

 雪が降る日が三日に一度になり、十日に一度になり、二週間降らなかったと思ったら、梅が散りいつの間にか桜のつぼみが膨らんでいた。
 庭に積もっていた雪があらかた解け、松の根元に少しだけ残すだけになった春の朝。
 わたしの元に、銀糸で鶴、金糸で紅葉を入れた白い打掛が届いた。

 わたしが使わせていただいていたお部屋が千早様のお部屋の近くに代わり、夫婦で使うお部屋もまた別に整えられている。
 次々に届く真新しい調度品の中、衣架にかけられた打掛は、ひときわ鮮やかに目を引いた。

 ……きれい。

 上質の絹で作られた打掛は、上品な光沢を放っている。
 触れるのが恐ろしくなりそうなほど美しい打掛に、わたしは時間も忘れて見入っていた。

 ――明日、わたしは千早様の妻になる。