わたしを「殺した」のは、鬼でした

 牡丹様と青葉様が抗議の声を上げた。
 千早様の意見に一瞬そうしようかと考えたけれど、それはそれで、のちのちお二人から恨みを買いそうな気もする。

 ……婚礼衣装を選ぶのがこんなに大変なことだとは思わなかったわ。

 そもそも、祝言を上げる機会が巡ってくること自体、あり得ないと思っていたのだけど。
 衣架にかけられたお着物はどれも見事なもので、純白の生地に銀糸や金糸で鮮やかな柄が入れられている。
 数か月後に、純白のお着物を纏って千早様と祝言を上げるなんて、いまだに信じられないような気持ちだ。
 お着物を眺めてうっとりしていると、青葉様と牡丹様がそろってわたしの顔を覗き込んでくる。

「「ユキ?」」

 ハッと現実に引き戻されたわたしは、結局どちらも選べずに、優柔不断なことを言ってみた。

「ど、どちらも、というのは……」

 それは苦肉の策ともいえる発言だったのだが、互いに折れるつもりのないお二人によって、あっという間に採用された。