わたしを「殺した」のは、鬼でした

 笑いながら、意識が朦朧としていくのがわかる。
 わたしがぼんやりしている間に、周囲にはうっすらと雪が積もりはじめていた。

「……死ぬのか」

 わたしの様子を眺めながら、鬼が、ちょっとだけ驚いたように目を見張った。
 そんな顔をしていても、やっぱり綺麗な人……。
 鬼は人を惑わすために美しい顔(かんばせ)をしていると聞いたことがあるけれど、まさしくその通りだった。
 鬼の呪い子と呼ばれたわたしが、鬼に看取られて死ぬのも、ちょっと変で面白い。

 ゆっくりと目を閉ざすと、体が支えられなくなって、うずくまった姿勢のままこてんと横に倒れた。
 ずっと凍えるような寒さの中にいたせいか、わたしの体は、もう限界に来ていたようだ。