わたしを「殺した」のは、鬼でした

 まっすぐで真摯な言葉が、わたしの胸に落ちて来る。
 千早様の妻になるなんて、分相応だとか、恐れ多いとか、そんな感情は相変わらず胸の中でぐるぐるしているけれど、それ以上に、この方の側にいたかった。

 わたしは、この方のことが好きなのだろう。
 わたしを道間という軛から解放し、この里に連れて来てくれた、優しい鬼。
 守らせてくれと言われたけれど、千早様は、出会ってからずっとわたしを守ってくれていた。
 死を待つばかりだったわたしに、生きたいと、そう思わせてくれたのは千早様だ。
 わたしは千早様の側で生きて、千早様の側で死にたい。

「わたしは、道間の生まれです」
「ああ」
「それでも、いいんですか?」
「俺が欲しいのは道間の女ではなく、ユキだ」

 そんな風に言われたら、もう――

「わたし、も、千早様のおそばに、いたいです……」

 じわりと涙の膜が張り、耐えきれず目じりを伝って流れ落ちた雫を、千早様が柔らかく微笑んでそっと拭ってくれた。