わたしを「殺した」のは、鬼でした

 ……わたしは、道間の生まれで。千早様の気まぐれで生かされているもので。

 鬼の頭領様である高貴な方の、妻に選ばれるような立場ではなくて。
 でもそれを口にして、今のお話がなかったことになるかもしれないと思うと、それはそれで怖くて。
 図々しいとわかっているけれど、頷いてしまいたいと思う自分がいて。
 自分で自分がわからなくなるくらい、どうしていいのかわからないから何も言えなかった。

「俺の嫁の立場になれば、今よりもお前の安全は保障されるはずだ」

 ああ、わたしの身の安全を千早様は考えてくれたのだ。
 それは嬉しかったけれど、同時に落胆してしまいそうになる自分もいて、わたしは感情を誤魔化すように曖昧に笑った。

「わたしは、千早様に守っていただけるような立場では……」
「俺が、守りたいと思っている」

 千早様がそんなことを言うから、沈みかけていた感情がまた浮上しそうになる。