わたしを「殺した」のは、鬼でした

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 ぱちり、ぱちり、とわたしは瞬きを繰り返す。
 何度瞬いても目の前の千早様は消えてなくならなくて――だからこそ、混乱した。

 ……嫁?

 と、千早様は言った気がする。
 だけどそれは、自分の耳に都合よく聞こえただけで、ただの聞き間違いではなかろうか。
 なぜなら、千早様がわたしを娶りたいと思う理由がわからない。
 わたしは千早様にとってただの下女で……、だから……。
 驚きすぎて何も返せないわたしの頭を、千早様は変わらず優しくなでてくださる。
 わたしを見つめる瞳には、冷たさはまったくない。