わたしを「殺した」のは、鬼でした

「顔は、よく覚えておりません。ただ、三人だったのは覚えています」
「足跡の数と一致するな。他に覚えていることは?」

 わたしは記憶をたどりながら、覚えていることをすべて千早様に説明した。
 と言っても、野菜を届けに来たと言った彼らが、わたしを取り囲んで、そこで意識を失ってしまったので、伝えられることはそう多くない。

「お前はしばらくの間、庭に出ないように。それから、できる限り俺の側ですごせ」
「は、はい……」

 千早様のおそばにいられるのは嬉しいけれど、それでは千早様が心休まらないのではなかろうか。
 わたしが攫われたばっかりに、千早様や青葉様たちに大変なご迷惑をかけてしまった。
 落ち込んでいると、千早様が何度も何度もわたしの頭を撫でてくれる。
 その手が気持ちよくてついつい甘えてしまいたくなるけれど、下女であるわたしがいつまでも主の部屋を占拠して、その主に看病してもらうのはおかしいだろう。