わたしを「殺した」のは、鬼でした

(あっちか)

 千早は再び走り出す。
 走る千早が珍しいのか、道行く者たちが驚いたような顔で振り返っていく。

 石畳の道を走り抜け、都の外壁を出て農村地にたどり着いた。
 雪に埋もれた田畑の間を走っていた千早は、灰色の煙がもくもくと立ち上っているのを見つけて足を止める。
 田畑の間に置かれていた、農工具を入れるための小屋が燃えているようだ。
 周囲に他に建物もないため、炎が燃え広がることはないだろうが……と考えてハッとする。
 赤く可視化していた足跡がその小屋に向かって伸びていたからだ。

「ユキ‼」

 まさか、と千早の顔から血の気が引く。
 小屋の周りには誰もいない。
 赤い炎に完全に飲まれている小屋の戸を、千早はためらいもなく蹴破った。

「ユキ‼」

 お願いだから、勘違いであってほしい。

 そう願った千早は、炎に包まれた小屋の中を見て、ひゅっと息を呑んだ――