わたしを「殺した」のは、鬼でした

「青葉、俺は足跡を追う」
「しかし……!」
「俺の足が一番早い。第一、この里にいる鬼で俺にかなうものはいないだろう」

 だからこそ、解せなかった。
 鬼は縦社会だ。隠れ里に住む鬼の中に、千早の決定に否を唱えるものなどいない。
 もっと言えば、千早が暮らす邸で狼藉を働こうなどと考える鬼がいるとは思えなかった。

(ならば、外部の鬼か?)

 しかし、現世からこちらへの道を開ける鬼は限られる。
 よほど力の強い鬼でなければ無理だろう。
 里の中で言えば、青葉か牡丹くらいしか思い浮かばなかった。