わたしを「殺した」のは、鬼でした

 ……鬼。

 彼は「鬼」だ。
 わたしはすぐに理解した。
 腐っても破魔家の家系に生まれたものだからだろうか。
 人と何ら変わらない外見をしている彼は、「鬼」なのだと、わたしの直感が告げた。

 はじめて見る「鬼」。
 おそろしく冷ややかで怖いのに、このときわたしは、ただただ彼のその怜悧さが美しいと、そう思った。

「……道間の、女狐か」