きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

 帰りも約束の時間に迎えに行くからと言われ、リデルは4人に見送られて、結婚式にやって来た。
 行きも1人だったので、帰りもそうなのかと思っていたのに、まさかエラが迎えに来てくれるとは。

 そのお陰で、クラークも追い払ってくれたエラに改めて御礼を言うと、エラはチラリと舌を出した。


「権力を使って偉そうにするのは、格好悪いと思ってたけど。
 癖になりそう」


 権力、それはエラが言った騎士団の事だ。
 その名前を持ち出したら、クラークは逃げるようにして披露宴会場へ戻って行った。
 その上、エラは彼に、あんたの父親は、と。


 それはつまり……
 リデルは、ここでようやく。
 どうしてあんなにクラークが必死だったのか、分かった。


「わたし達には騎士団が付いてる。
 ……それでライナーさんは、息子にわたしとやり直すように言ったのね?」

「どうせ、復縁出来なきゃ、跡は継がせない、とか脅されていたんでしょ。
 皆が皆、わたしやリデルみたいに、出入りを許されている訳じゃないからね。
 本邸に食い込みたい人は大勢居るから」


 リデルとエラだって、出入りが出来るのは、親が本邸で働いているからだ。
 
 それと、ご領主様が本邸には差程の興味も無く、家政をリーブスに任せていて。
 本来は本邸を取り仕切る奥様が領地にいらっしゃらないから。  
 ご領主夫妻が本邸に揃った他領なら、使用人の家族など出入り禁止だろう。
 


「エラ、貴重な連休をわたしのために使ってくれて、本当にありがとう。
 感謝してます」

「……そうね、この御恩は絶対に、一生忘れないでね。
 わたしが食べたいと言ったら、リデルはクリームシチューをご馳走するの、一生ね」