空が澄み渡る秋晴れの日に、小さな石造りのリーブス家の庭で行われた結婚式は。
 ふたりを祝福してくれる、多くは無いが心優しい人々が集ったいい結婚式だった、と後々まで言って貰えるような、そんな式だった。


 テリオスが髪を染めてケインを伴い、式に現れたのには、流石のジェイも驚いた。
 彼にはリデルと結婚する事は伝えていたが、日時までは知らせなかった。
 彼はあの穏やかな笑顔を見せて
「王都で親しくさせていただいていた友人です」と皆に、適当な偽名で挨拶をした。
 第2王子の顔など知らない善良な人々はそれを信じた。

 彼の側にずっと付いていたケインが席を外したのを見計らい、人目を盗んで物陰に連れ込んで、事の次第を質せば。

「お前を側近にはしないと言ったろ。
 卒業したら、取り巻きじゃなくて、ただの友人だ」と言うのが彼の言い分で、珍しくジェイは感動したのだが。