ジェレマイアは思い出した。
 そうだった、昔からリデルは決断力があって、決めたら直ぐ実行派だった。


「あちらに行くことを、父さんへの不義理になるのかな、ってそれだけを考えてた。
 だけどね、デイヴ・カーターは絶対にそんな風に思わない」

「そうだな、デイヴは絶対に思わない」

「それにね、本当の……お父さんの今の様子も気になるの。
 どんな人とか全然覚えていないけど、わたしを必死で探してくれた、って教えてくれたでしょう?
 だからせめて、無事でした、と顔を見せたいし。
 それにジェレミーが言ってくれた、わたしの力が神様がくれたギフトなら。
 今も悲しみから抜け出せないお父さんの手を握って……
 楽になって貰いたい」
 

 そう言い切るリデルが愛しくて、誇りに思って。
「帰る」と自分から言い出せないジェレマイアは。
 翌日の朝、夜勤明けのデイヴに叩き起こされるまで、長椅子でリデルを抱き締めて眠った。