「グーレンバイツ帝国。
 こんなに迎えに来るのが遅くなってしまったのは、俺は君の母国に行って。
 君の実家を見て、君のご両親の話を聞いてきた。
 リィ、君の『癒し手』の力はお母さんから受け継いだ、神様からのギフトなんだ」


  ◇◇◇


 テリオスからグーレンバイツへの入国を
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか、命令じゃない、行ってくれたら助かるなぁ……」となだめられたジェレマイアはベージルーシュ家を知りたくて、北大陸へ渡った。

 夜に紛れて人目を避けながら、シェイマスへと発った時とは違い、今回はアリステア聖下の一筆を胸に、侍従まで用意されての旅立ちだった。
 テリオスがどれ程上手く口説いたのか知らないが、大主教聖下は彼に協力してくださった……見張り役の侍従は付けられたが。


「俺の代わりに、ルーファスを差し出すと言えば、その気になった」