自分はずるい言い方をしている、とリデルにも分かっていた。

「信じてくれた父さんと同じ」と言われてしまえば、デイヴはもう何も言えなくなると分かってて口にした。
 案の定、言われてしまったデイヴは、そこで黙ってしまったが。
 今度は、ジェレマイアがリデルに頭を下げた。


「俺は……リィにそんな風に信じて貰えているとは思いもしなかった。
 君に縁談の話をしたら、身を引かれてしまうと思った。
 それが嫌で怖くて、デイヴも居るこの場でついでのように話そうとしてた。
 こんなに臆病者で、弱い俺にはがっかりしたと……」


 リデルは、掌でジェレマイアの口を塞いだ。
 デイヴの前だが、もう構いはしなかった。


「これ以上強くなろうとしないで。
 貴方のその弱いところを、わたしは補いたい。
 貴方は全力でわたしを幸せにする努力を続ける、と言ってくれたけど。
 ふたりが幸せになるのは、一方の努力だけじゃ無理だと思うから」

 
 そのふたりの姿を見、ふたりの言葉を聞いたデイヴはため息をついた。
 もうこの子達は、大人になった。
 ふたりで幸せになる、そのための努力をすると言うのなら、親はそれを信じて願うしかない。


「……リデル、お前が納得しているんなら、いい。
 だからもう頼むから、親の目の前で、お互いへの愛を語るのは勘弁してくれ」