それを聞いたリデルの様子が変わる。
 やはり縁談の事はまだ聞かされてはいなかったのだ、とデイヴは都合が悪い事を黙っていたジェレマイアを睨んだ。
 彼の事もデイヴは息子のように思っているが、それでもリデルを泣かすことは許さない。

 しかし、事実を突きつけられて、ショックを受けたと思ったリデルが昂然と顔を上げ、デイヴと視線を合わせて話し出した。


「待って、父さん、これだけは言わせて。
 確かにジェレミーから、縁談があるって聞いてなかった。
 でも、これからは何も隠さないと約束してくれたの。
 だから彼にはそうする理由があって、わたしに話せる時機を待っていたんだと思う」

「お前、こいつを庇うのか?」

 リデルの言葉は、デイヴには意外だったのだろう。


「庇うんじゃない、信じているだけ。
 ジェレミーはこれまで、わたしを騙したり、誤魔化したりしていない。
 だから、何かあるから黙っていたと信じてる。
 父さんは、嘘をついていたわたしを、責めなかった。
 理由がある、と信じてくれていたんでしょう?
 それと同じ」