彼の真実を教えて欲しい。
 彼から逃げるのではなく話し合って、これからの事を決めたい。
 
 

「今日の御礼だって、言いたかった。
 ジェレミーに会いたかった。
 だから、謝ったりしないで。
 貴方と話がしたい。
 わたし、何処でも、貴方に付いていくから」

「……」  


 リデルが彼の話を聞く前に、先ずは自分の気持ちを伝えれば。
 ジェレマイアは無言で、口元を掌で覆った。
 その表情は、深くおろされたフードによって隠れて見えないが、それが子供の頃からジェレマイアが照れた時にする仕草だとリデルは覚えている。


 自分から何処でも付いていく、と言ったのは、ここケール家の前から離れた方がいい、と思ったからだ。
 往来で、ドレス姿の娘と分厚いマントを羽織った馭者が、いつまでも手を取り合って見つめ合っていたら、目立ってしまう。



「ね、ジェレミー聞こえてる?」

「はぁー……聞こえてる、聞こえてるから。
 も、もうちょっと……離れ……はぁあ、ここじゃ無理だ。
 ……やはり本邸に戻ろう。
 俺もこれまでの事、王都での事、全部聞いて欲しいから」


 大きな深呼吸を2回、彼はした。