(……すごく、きれい)
きれいな目を細めて、鳥居先輩が微笑む。
「呼び方そのものに意味はなくてもね、目上であるということには意味があるんだ。だから名称そのものに、先輩って入れられているのかもしれないね。目上ってわかるかい? 目上の者には敬意を払わなければいけないよ」
さっきまで鈴を鳴らして喜んでいた男の子とは思えないくらい、大人びた笑い方。
一瞬、誰かに似ているような気がした。
それが誰かを思い出すより早く、鳥居先輩が、
「ちょうだい、それ」
と言ってわたしにむかって手を差し出した。
「あっ、これ、ですか……?」
手のひらの中で丸くなった紙と、五円玉を差し出した。
「あーあ、こんなに強くにぎらなくてもいいのに。紙がくしゃくしゃじゃないか」
紙と五円玉を受け取った鳥居先輩は、なんだかいやそうにそう言いながら、手を使って紙をきれいにのばしていく。
それから、鳥居の書かれた紙を真っ白なベッドの上に置いた。
その上に五円玉を置いて、わたしの方をまっすぐに見る。
