サラサラの黒髪に、きれいな顔、白い肌。
ベッドやカーテンと同じ、真っ白なシャツを着た、男の子。
足元だけはなぜか、ちょっと汚れたうわばきをはいている。つま先が赤いやつで、名前のところが黒くぬりつぶされている。
「……あ、あなたが、トリイ先輩、ですか……?」
「うん? うん、まあ、君たちはそう呼んでいるみたいだね」
「あの、トリイ先輩の、トリイっていうのは」
「その、君の手の中で丸まっている鳥居のことだと思うよ」
(『思う』……?)
鳥居先輩は、自分のことなのに、なんだか他人事のようにそう言った。
会話の合間に、鳥居先輩の鳴らす鈴の音が、チリリン、チリリンと響く。
「あ、それに、どうして『先輩』なんですか?」
「どういう意味だい?」
「だって、うちの小学校に先輩とかそういうのってないし、そもそもわたしは六年生だから、わたしたちより先輩はいないのに」
それなのに、香苗ちゃんも、神楽木先生だって、鳥居先輩のことを「先輩」って呼んでいた。
「……さあ? 僕が付けた名前じゃないから、わからない。呼び方そのものに深い意味なんてないんじゃないかな」
そう言うと、鳥居先輩は鈴を鳴らすのをやめて、すっと立ち上がり、わたしの方を見る。
目の色が、灰色だ。初めて見た。日本人、に見えるけど。違うのかな……。
深い灰色は、きれいで、吸い込まれそうで、目が離せなくなる。
