運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

ブブブ ブブブ
二人でのんびりとコーヒーを飲んでいると、俺のスマホに着信があった。

フー。
表示された名前を見て、俺はひとつ息をついた。

それは、「沙月」と言う女性の名前。
テーブルの上にスマホ置いていたから、おそらく梨々香の目にも入ったことだろう。
しかし、俺はなんでもなかったような顔をして電話に出た。

「もしもし」
「もしもし、あなた、彼女ができたの?」

ずいぶん直球の質問に、俺はなんだかおかしくなって笑ってしまった。

「何だよいきなり」
「だって、同棲しているんでしょう?」

少し声のトーンが落ちた心配そうな声。
一体どこで聞いたんだと疑問を感じたものの、そこはあえて聞こうと思わない。
どこにでも余計な話を耳に入れる奴はいるものだ。