運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

それからしばらく、マンションの地下駐車場に止めた車内で、私は徹さんと共にいた。
温かで大きな腕が私の背中へと回され、私もまた徹さんに体を預けた。

「さっき梨々香が真っ青な顔をして言い寄られているのを見て、俺はあいつを殴りそうになった」
「だめよ。そんなこと」
「わかっているよ。実際に手を出したりはしない」

徹さんのことだから、本当に手を出すなんて事は無いのだろう。
ただそれだけ憤ったと伝えてくれたのだ。
私は改めて、自分の行動が軽率だったと反省した。

「これからは、もう少し行動に気をつけます」
「ああ、そうしてくれ」

人間同士のしがらみが苦手で、子供相手ならと保育士の道を選んだけれど、子供の後には常に保護者である大人がいる。一度自分で決めた以上逃げ出してはいけないと思うけれど、私には向かない仕事なのかもしれないと思うことが最近増えている。