運命みたいな恋は、ほら！すぐそこに転がっている

お父さんはまず晴斗くんを車に乗せ、一旦ドアを閉めた上で私を振り返った。

「うちがシングルファザーだから同情してるんですか？」
「違います。そうではありません」

私は咄嗟に否定したが、晴斗くんのお父さんは険しい表情のまま。

「そういう同情はやめてください。結局先生は他人じゃないですか、育てていくのは僕なんですよ」

それまで私から距離を取っていた晴斗くんのお父さんが、詰め寄るように私に近づいてきた。
ちょうど駐車場の1番端で奥まった場所。人気もない所だけに、私は1歩2歩と後ずさりして背中が壁にぶつかったところで足が止まった。

「それとも、先生が晴斗の母親になってくれますか？」

きっと、私に干渉されたことに腹が立ち怒っているだけで、本気で言っているわけではないだろうと思う。
それでも、ジリジリと距離を詰められる恐怖に私の体が硬くなった。