運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている

「梨々香、大丈夫か?」

慌ててしゃがみこんだ徹さんに腕をとられた。

「ごめんなさい」

指を切ったことよりもせっかくお揃いで買ったカップを割ってしまったことがショックで、私は謝った。

「とにかく傷を見せて」

すぐに血は止まったためたいしたことは無いだろうと思ったものの、念のために診るという徹さん支えられながらリビングに戻った。

「濡らせば治りが悪くなるだけだから、当分洗い物は禁止だな」
「はい」

怒る風でもなく私を見る徹さんは、消毒をして絆創膏を貼ってくれた。
手当をする徹さんとの距離があまりにも近くて、私の心臓がドクンと鳴るのが聞こえた。
このままではいけない。
これ以上徹さんの側にいれば、私は気持ちが抑えられなくなる。
この時になって、私は自分の気持ちにはっきりと気が付いてしまった。